もしも「そっくりクレヨン」をもらったら

のび太が描いたイヌの絵を「まるでネコみたい。あはは」と馬鹿にするスネ夫としずかちゃん。連載初期のしずかちゃんがあまり優しくないのはさておき、そんなのび太を励ますためにドラえもんが貸してあげたひみつ道具が“そっくりクレヨン”です。

機能と効果

ドラえもんのそっくりクレヨンは、スケッチした対象物の見た目をその絵にそっくりに変えるクレヨンです。

有用性: ★☆☆☆☆

幸運にも、超絶技巧と人から呼ばれるほどの技術を会得している絵描きならば、あたかも創造主にでもなったかのように万物の外見を思うままに変化させられます。しかし、そういったレベルで絵を描ける人はほんの一握りしかいません。

ほとんどの人にとって、そっくりクレヨンは宝の持ち腐れになることでしょう。

危険性: ★★★☆☆

そっくりクレヨンが登場する原作エピソードは、扉絵を入れても5ページしかない超短編です。そのせいか物語が投げっぱなしで、変形させた対象物を元に戻す方法が描かれていません。

のび太がそっくりクレヨンで変えてしまったスネ夫の顔は、次の回では元に戻っています。しかしそれがほかのひみつ道具、例えば“タイムふろしき”で戻していたならば、「ひみつ道具を一つだけもらえるとしたら」という条件下では終了です。

後悔したくなければ、元へ戻せなくなると困るものには使うべきではないでしょう。

悪用度: ★★★★★

およそ多くの人にとって顔は自己同一性の一端を担っています。それを変形させることは人格破壊にも等しい蛮行です。

秘匿性: ★★★★☆

生物への使用を控えて、自宅にあるものを変形させるだけなら、そっくりクレヨンの存在が期せずして明るみに出ることはなさそうです。

革命度: ★★★☆☆

「スケッチした対象物の形が変わる」という機能は、数ある荒唐無稽なひみつ道具の中でも突拍子もない非現実的なものです。手当たり次第に世界の姿形を変えていけば、その在り方も変えていけるかもしれません。

まとめ

既製品の家具が、そっくりクレヨンでオーダーメイドに早変わり。なんて贅沢気分を味わえるほどの画力は残念ながらありません。そっくりクレヨンをもらっても、要らない物で何度か試してみるのが関の山です。

家族が誰かの姿を変えてしまった、なんていう取り返しのつかないことにもなりかねないので、保管するにも気を使います。それならいっそないほうがいい。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、そっくりクレヨンの優先度は星0つです。

道具名称:
そっくりクレヨン
原作初出:
『ドラえもん』第3巻「そっくりクレヨン」
カテゴリ:
「そ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第3巻 / 変化
公開日:
2015年01月23日

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