もしも「ポータブル国会」をもらったら

不景気でお年玉の集まりが悪いと嘆くのび太とドラえもん。それもこれも国会のせいだという(ずいぶん大げさな)結論に達しましたそこでドラえもんが取り出したひみつ道具が“ポータブル国会”です。

機能と効果

ドラえもんのポータブル国会は、独自に考えた法案を施行するひみつ道具です。

法案を紙に書いて封筒に入れたものをこれの投入口に差し入れると、すぐさま日本中の人々がその法案に従い始めます。

実際の法律として成立して公布されるのではなく、未知の力で人々を従わせます。そのため、たとえ不合理な法案だったとしても彼らは疑問を抱かず愚直に守ります。

ただし、あまりに無茶な法案をとおそうとすると、ポータブル国会は「カイサン💥」という音と共に自爆します。そして今までに施行したすべての法案が無効になります。

外見が日本の国会議事堂を模していること、またドラえもんが機能の説明で日本を名指ししていることから、日本専用だと推定されます。

有用性: ★☆☆☆☆

利己的な法案をポータブル国会でばんばん施行すれば、この社会を自分に都合よく変革できますけれども私利私欲のために日本全土を巻き込むなんて、あまりに迷惑千万な話。とてもじゃないけど有用とはいえません。

では私益を捨て、あくまで日本のためにポータブル国会を使ったとしたら? 連日のようにニュースをにぎわせる政治家の失言や失態、汚職疑惑などを見て、「自分なら日本をもっとよくできる」と考える人もいるでしょう。

しかしなにをもって「よりよい日本」とするかは人それぞれ。志(こころざし)がどうであれ、ポータブル国会で日本を変えるのが独善的であることに違いはありません。

独裁が必ずしも悪だと限らないとしても、秘密裏かつ強制的に社会を動かすポータブル国会は問題外です。矢面に立っている分だけ、まだ独裁者のほうがマシというものです。

危険性: ★★★☆☆

日本全土という効果範囲の広さゆえ、法案がどこでどのような影響を及ぼすかは予測しきれません。想定外の事態が起こることもあるでしょう。

それだけあって、度を越した法案をとおそうとすると自爆する安全装置がポータブル国会には備わっているけれど、どうにもその基準が甘い下手な法案を施行して社会的混乱を招いてしまわないようにする注意が必要です。

悪用度: ★★★★☆

かの“どくさいスイッチ”は名ばかりで、実際には独裁とは程遠い、道徳教育が目的のひみつ道具でしたしかしこのポータブル国会は、民主主義に真っ向から歯向かう真に独裁的なひみつ道具です。

民意をないがしろにして勝手に社会を操るのだから、ポータブル国会を使うことはすなわち悪事だといえます。

秘匿性: ★★★☆☆

ポータブル国会で施行した法案がどのような内容であっても、日本に暮らす人々は無条件で従います。しかしポータブル国会の効果が及ばない諸外国からは疑問視されるはずです。

国際情勢を揺るがしかねない異常事態に陥れば、必ずや各国の諜報機関が動き始めます。

現代の常識を超越したポータブル国会の存在が突き止められるとは思えないけれど、用心するに越したことはないでしょう。

革命度: ★★★★☆

安全装置による歯止めがあるとはいえ、社会に変革をもたらすということは、革命そのものです。

まとめ

自分が暮らす国をよりよくしたいと考えるのは真っ当です。だからといって独断で社会を変えていいことにはなりません。自分にとって好都合な社会にしたいだなんてのはもってのほか。

私利私欲を追及するにしたって、なにもこんなハタ迷惑なものをわざわざ選ばなくても……。とにもかくにも、影響範囲が広すぎて個人的な用途には不向きです。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ポータブル国会の優先度は星1つです。

この記事の「ゆっくり解説」版

道具名称:
ポータブル国会
原作初出:
『ドラえもん』第15巻「ポータブル国会」
カテゴリ:
「ほ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第15巻 / 万能 / 統制
公開日:
2016年02月17日

あわせて読みたい

広告