みんなでしずかちゃんの家に集まる約束の時間なのに、のび太はまだ宿題を終わらせられないでいました。
そんなのび太をドラえもんが叱責すると、のび太は奮起するどころか、へそを曲げて宿題を諦めてしまいました。
そこで仕方なくドラえもんが取り出したひみつ道具が“コンピューターペンシル”です。
ドラえもんのコンピューターペンシルは、問題の正しい解答をスラスラスイスイと自動的に記入してくれる鉛筆です。
原作エピソード「一生に一度は百点を…」では、しずかちゃんのお父さんの仕事(職種は不明)をコンピューターペンシルで片付けました。パソコンで処理できる類いのことなら、学業に限らず使えます。
普通の鉛筆のようにどんどんすり減っていくのか、それとも未知のテクノロジーによっていくらでも書けるのかは不明。
当サイトでは機能や形状から鑑みて、先端にジョイントで通常の鉛筆などを継ぎ足しても機能すると仮定します。
コンピューターペンシルは、使用者の知性になにも働きかけません。つまりコンピューターペンシルでどれだけ課題をこなしても、まったく身にならないのです。
しかし、口頭で説明する必要のない仕事ならば、担当者がまったく理解してなかろうが、正しい内容になってさえいればいいわけです。
一抹のむなしさを感じたとしても、給料分の仕事をこなしたことには変わりありません。
これを有用とするか否かは、物事をとらえる視点によるでしょう。
問題は、「一生に一度は百点を…」が描かれた当時とは違って、現代では職種を問わず業務のほとんどをパソコンで処理するようになったことです。
パソコンで使うには、コンピューターペンシルの先にスタイラスを接続して、タッチパネルで操作する必要があります。そういった勝手なPC環境が許されない職場では使えません。
個人事業主(自営業)とコンピューターペンシルの相性は抜群です。経理からなにから事務をコンピューターペンシルでこなせるから、業務のフットワークが軽くなることでしょう。
では学業はどうか。学業の目的は、正解を導くことではなく、学ぶこと自体にあります。まったく身にならないコンピューターペンシルは、学業においては無用の長物です。
危険性は、これといってないでしょう。
「一生に一度は百点を…」は、のび太がコンピューターペンシルを学校のテストに使うか使わないかで葛藤する物語です。
ドラえもんは、コンピューターペンシルをテストに使うことに「ずるい‼ それじゃカンニングと同じだ!」と猛反対しました。
カンニングは不正行為ですから、間違いなく悪用です。
特に定員のある試験にカンニングで合格した場合は、本来合格するはずの誰かが代わりに落第することになるから、より悪質です。
ちなみにのび太はというと、もちろん使うのを止めました。なんだかんだで、そういうところはしっかりしてます。
シャーペンが禁止されている小学校でもない限り、鉛筆であるコンピューターペンシルは、結構目を引くでしょう。
筆記具は気軽に貸し借りされるものだから、勝手に使われたり、頑なに貸さないことをいぶかしがられたりするかもしれません。
また、天才は――たとえまがいものだとしても――嫌でも注目を集めます。試験の難易度が一定を超えると満点を取る受験者はまずいないので、わざと間違いを混ぜたほうが無難です。
秘匿性は、運用の仕方しだいでしょう。
ドラえもんは2123年からやってきました。現在から2123年までのあいだに数学上の未解決問題がいくつも解かれているはずです。
つまり、それらの問題をコンピューターペンシルなら今すぐ解けます。これはかなり革命的なことです。
世界的な注目を浴びるのに、本人は証明の内容を1ミリも理解していないという困った状況に陥るけれど。
結局、コンピューターペンシルを活かせるか否かは本人の地頭しだいに思えます。なので持て余すかもしれないけれど、持っていて困ることは(多分)ありません。
子供の頃は欲しかったなぁ、ということで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、コンピューターペンシルの優先度は星
つです。