もしも「悪運ダイヤ」をもらったら

外を歩けば頭上からペンチが落ちてきて頭に当たったり、家の中では足元に散らばっていた画びょうを踏んでしまったりと、なにかとひどい目に遭うのび太は自分の運の悪さを嘆きました。

ドラえもんはそんなのび太を不憫に思って、“悪運ダイヤ”を貸してあげました。でもそれは美しい見かけとは裏腹に、恐ろしい力を秘めたひみつ道具だったのです。

機能と効果

ドラえもんの悪運ダイヤは、不運を人になすりつけるダイヤです。

これを自分(以下「マスター」という)の体に「ゴシゴシ」とこすりつけてから、誰か(以下「スレーブ」という)に渡します。するとマスターの身に起こった不運な出来事による被害が、スレーブの身にそのまま転嫁されます。

たとえばマスターが転んで体を打ちつけると、その痛みはスレーブが感じます。マスターは痛くもかゆくもありません。

誰かが新たに悪運ダイヤを体にこすりつけるたびに、マスターはその人に随時更新されます。

悪運ダイヤを手に持ったりポケットに入れるなどして身につけているだけでスレーブとなるため、スレーブは簡単に変わります。スレーブがいない(誰も悪運ダイヤを身につけていない)ときは効力を発しません。

有用性: ★☆☆☆☆

自分が被った損害を人になすりつけるだなんて、あくどいにもほどがあります。これを有用とはいえません。

モラルを度外視して考えても、「誰かが悪運ダイヤを身につける」という発動条件がなにげに厳しい。こういった貴重品(に見える物)は持ち歩かずに、自宅に保管しがちです。悪運ダイヤを渡しても、常時身につけはしないでしょう。

危険性: ★★☆☆☆

悪運ダイヤの効果発生中は、マスターは安全性が高まり、スレーブは危険性が高まります。

悪用度: ★★★★☆

誰かのポケットに悪運ダイヤをこっそり入れて、すぐに高所から飛び降りたら?

そこまで非道なことをしなくても、悪運ダイヤを使うこと自体がすでに悪用だといっても過言ではありません。

秘匿性: ★★★★☆

本物のダイヤモンドと見間違うほど美しい悪運ダイヤは、人々の目を引く存在です。

しかしそれが未来からドラえもんによって届けられた存在だと気づかせる要素はなに一つありません。その効力によってなにが起ころうと、悪運ダイヤとの因果関係は証明できないでしょう。

革命度: ★★☆☆☆

悪運ダイヤの効力はあまりにも現実離れしています。それが科学技術に基づくとはとうてい信じられない革新的なものです。だからといってこれが世に革命をもたらすかというと、まったくもってそんなことはないでしょう。

まとめ

「所有者は必ず不幸になる」といういわくつきの宝石として名高い「ホープダイヤモンド」が悪運ダイヤの元ネタだと思われます。

ホープダイヤモンドにまつわる伝説は尾ひれがついて誇張されたものだといわれているけれど、悪運ダイヤは正真正銘の恐ろしい力を秘めた代物です。犠牲になるのは自分ではなく、ほかの誰かだといえ、気分のいいものではありません。

こんなものはこの世にないほうが好ましい。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、悪運ダイヤの優先度は星0.5つです。

道具名称:
悪運ダイヤ
原作初出:
『ドラえもん』第8巻「悪運ダイヤ」
カテゴリ:
「あ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第8巻 /
公開日:
2016年12月19日

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