もしも「ジキルハイド」をもらったら

ジャイアンに借りパクされた望遠鏡を取り返すべく、のび太は剛田家を訪れました。けれども持ち前の気の弱さをジャイアンにまんまと突かれて、手ぶらで帰路につく羽目になったのです。

事の顛末を聞いてあきれたドラえもんが悩んだ末に取り出したひみつ道具が“ジキルハイド”です。

機能と効果

ドラえもんのジキルハイドは、服用すると人柄がまるっきりあべこべになる錠剤です。用量は1回1錠。効果は服用した次の瞬間から現れ、ちょうど10分間続きます。

一口に「人柄」といっても、実際はさまざまな性質や習性が相まった漠然としたものです。そこで当サイトでは、ジキルハイドの効果を「その人の持つすべての性質や習性がそれぞれ一つずつあべこべになる」と解釈しています。

もらえる量は100錠入り1瓶とします。

ちなみに、ジキルハイドはもちろん小説『ジキル博士とハイド氏』をもじったものでしょう。

ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫) (創元推理文庫 F ス 3-1)
タイプ:
文庫
著:
ロバート・ルイス スティーヴンスン
発売元:
東京創元社

有用性: ★☆☆☆☆

大抵の人は、性格の直したいところが一つくらいはあるでしょう。ジキルハイドを服用すればそれが直せるかというと、そう簡単にはいきません。

たとえば怠惰(たいだ)なところを直したいとします。ジキルハイドを服用すれば、たしかに勤勉にはなるでしょう。けれどもその人が道徳を重んじる善人だったなら、「法律なんてクソくらえ!」という悪人にもなってしまいます。

勤勉は勤勉でも、それでせっせと悪行に精を出すのでは困りものです。性格のさまざまな因子がまるっとあべこべになるので、望んだ性格にジキルハイドでなることはまずないでしょう。

危険性: ★★★☆☆

性格があべこべになると、本来なら望まない行動をとる可能性が非常に高まります。たったの10分とはいえ、そのあいだに取り返しのつかないことをしてしまうかもしれません。正気に戻ってから後悔しても、もう手遅れです。

悪用度: ★★★☆☆

大事な局面を直前に迎えている人にジキルハイドを服用させて、選択を誤らせることで、人生を狂わせる悪用が考えられます。

人生の岐路でなくとも、ジキルハイドによる選択ミスは手痛い失敗につながります。ジキルハイドを無断で服用させるのは悪質な行為です。

秘匿性: ★★☆☆☆

ジキルハイドの「人が変わったようになる」という薬効は、違法ドラッグを想起させるものです。また服用すると即座に効果が現れるので、因果関係も明白です。人前で軽々しく服用できるひみつ道具ではありません。

革命度: ★★☆☆☆

程度の差こそあれ、摂取することで性格に影響するものは現存しています。もっとも身近なのはアルコールです。深酔いすると人が変わったようになることも珍しくありません。

ジキルハイドのように性格のあらゆる因子があべこべになるものはさすがに現存しないものの、革命的というほど隔世の技術ではないでしょう。

まとめ

ドラえもんはジキルハイドを「恐ろしい薬」だと語りました。基本的に人々は善人であるように道徳教育されていますから、ジキルハイドがもたらす明暗はマイナスが勝るでしょう。

有効利用する道がどうにも見つからない。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ジキルハイドの優先度は星0つです。

道具名称:
ジキルハイド
原作初出:
『ドラえもん』第6巻「ジキルハイド」
カテゴリ:
「し」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第6巻 / あべこべ / おとぎ話
公開日:
2016年05月20日

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