不要不急の外出、控えてますか?
新型コロナウイルス感染症ことCOVID-19(以下「新型コロナ」という)が猛威を振るっている2020年。新型コロナは避けては通れないトピックです。
そこで当ブログ『ドラえもんのひみつ道具を一つもらえるとしたら』では、ひみつ道具が可能にする新型コロナ対策をとおして、我々が今できること、やるべきことを改めて考えます。
あなたのデスクの引き出しからドラえもんが現れて、ひみつ道具をどれか一つだけもらえることになる。
消耗品は原作から推定されるドラえもんの所持数だけもらえる。補給はできない。
タイムパトロールからは一切干渉されない。
テレビアニメ版や、藤子・F・不二雄先生が逝去されてから制作された作品で追加・変更された設定は考慮しない。
医療用のひみつ道具といえば“お医者さんカバン”です。
あらゆる病気の特効薬を調剤できます。ただし7回分だけ。新型コロナが世界中で猛威を振るう状況では、焼け石に水を1滴垂らすようなものです。
検診機能には回数制限がありません。聴診器を身体に当てるだけで、その人が罹患(りかん)している病気がすぐさま判明します。
2月のダイヤモンド・プリンセス号でこれが使えていれば、新型コロナが船内に蔓延(まんえん)する事態を避けられたでしょう。その後は国際空港で継続的に入国者を検診すれば、海外から持ち込まれる新型コロナを最小限に抑えられました。
しかし日本中に蔓延した今となってはもう手遅れです。1台のお医者さんカバンではとうてい手が回りません。局所的ではなく、広範囲にまとめて作用するひみつ道具が必要です。
局所ではなく全体に。一人ではなく全員に。そんなひみつ道具の代表が“ポータブル国会”です。法案を書いた紙をこれの投入口に入れると、すぐさま日本中の人々がその法令に従い始めます。
新型コロナに差し当たり有効な対策が、人々が密閉・密集・密接の「三密」を避け、さらには可能な限り互いの距離を2メートルあける「ソーシャル・ディスタンシング」の実践です。
そしてそれらを強制的に実現するのが都市の封鎖、いわゆる「ロックダウン」です。
ロックダウンに該当する法令がない現在の日本でも、ポータブル国会なら問答無用で超法規的にロックダウンを実行できます。並行して給付金などの補償も出せます。
でも、それで日本を救える? 本当に?
たとえそれが「人々を救いたい」という一念からだとしても、あなたの一存で国民をコントロールすることが救済になり得るのでしょうか。
なんにせよ新型コロナのワクチンが完成するまでは綱渡りの状況が続きます。そのうえポータブル国会で日本を陰から動かす独裁者まで現れるなんて、踏んだり蹴ったりです。
そもそも新型コロナは日本だけの問題ではありません。救うべきは世界です。
それなら“もしもボックス”をもらって、「もしも新型コロナのない世界だったら」と告げたら……。その瞬間、新型コロナはなかったことになります。
しかしそれはこの世界とは別の、もう一つの世界です。ドラえもんとドラミちゃんによると、もしもボックスは世界を改変するのではなく、条件に合ったパラレルワールドへ移るひみつ道具です。
大長編『ドラえもん のび太の魔界大冒険』より
- のび太
- 「取り消したら、ぼくらは元の世界へもどれるけど……、魔法世界のほうはどうなるの?」
- ドラミ
- 「パラレルワールドになるわけよ」
- のび太
- 「パラ……、なんだいそれは」
- ドラえもん
- 「つまりね、あっちはあっちで、こっちと関係ない世界としてつづいていくわけ」
我々の暮らすこの世界をもしもボックスで救うには、「新型コロナのワクチンが完成した世界」へ行って、そのサンプルと情報を持ち帰るしかありません。
ところであなたはワクチン開発にかかわる強い権限を持つ立場なのでしょうか。畑違いの人が「これが新型コロナのワクチンと資料です」と言ったって、妄言とあしらわれて門前払いです。
「出所不明のものは信用されない」という問題は、ほかのひみつ道具にしても同じです。コロナ対策は一筋縄ではいきません。もっと強力で、もっと特別なひみつ道具の出番です。
強大な力をもつひみつ道具、その筆頭が“ウソ800(エイトオーオー)”と“ソノウソホント”です。
特にウソ800は離ればなれになるはずだったドラえもんとのび太の運命(1)を、二人がまた共に暮らせるように変えた(2)特別なひみつ道具です。
どちらも(すくなくとも原作漫画で開示された情報の限りでは)不可能はありません。あったことをなかったことにするのも、なかったことをあったことにするのも自由自在です。
ソノウソホントを口に着けて、「新型コロナウイルスが一つ残らず消滅した」と言うだけで終わります。
しかし、です。もしも本当に新型コロナを一瞬で消し去る力があるなら、逆にもっと恐ろしいウイルスをこの世に放つこともできるはずです。
人の善意につけ込んで、禁断の果実に手を出させるのは悪魔の常套手段です。
世界的な危機だからこそ、一見「さえたアイデア」に思える手段でも――それがひみつ道具と関係ない現実的な手段でも――飛びついてはいけません。
(1)てんとう虫コミックス『ドラえもん』第6巻「さようなら、ドラえもん」
(2)同第7巻「帰ってきたドラえもん」
ひみつ道具をもってしても、新型コロナ対策は困難です。って22世紀の未来のものなのに!?
それもそのはず。ドラえもんの持っているひみつ道具は、ドラえもんがなけなしのお小遣いから捻出して買ったり、レンタルした安物だからです。
ドラえもんのひみつ道具が「誰得」なものだったり、大雑把だったり、強力な代わりに副作用が大きくてリスキーだったりするのはそのせいでしょう。
なんであれ、ドラえもんからひみつ道具をもらっても解決が難しい局面に我々は立っています。
それでも成すすべはあります。新型コロナの効果的なワクチンや治療薬が開発されるまでソーシャル・ディスタンシングを実践して、感染を抑えてしのぐという現実的な手段です。
このことを真剣かつユーモアを交えて表したニュージーランド警察のツイートが秀逸です。
#StayHomeNZ pic.twitter.com/T1EilIm9f2
— New Zealand Police (@nzpolice) March 25, 2020
「歴史上初めて、テレビの前に寝転んで、なにもしないだけで人類を救えます。この機会を台無しにしないで!」
もちろんテレビの前で寝転んでいるだけではお金になりません。人類を救う前に自分の生活を守るために働きに行かなければならないとしても、不要不急の外出は控えられます。
マスクやその代用品で飛沫の拡散を抑えたり、手洗いを徹底したり。一つひとつは微力でも、一人ひとりが積み重ねれば、きっと未来を変える力になるはず。
のび太が未来を変えたように、我々も未来を切り開きましょう。
江頭2:50が物申す! - エガちゃんねる